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地上に降りた最後の天使

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地上に降りた最後の天使

1992年春季地区発表会 市川文化会館小ホール

演出:山田真樹子

《 CAST 》
■ 天野香澄/天使1 : 小島幸
■ 井上朱理/天使2 : 中村仁美
■ 大島由美/天使3 : 山田真樹子
■ 神崎大地/大天使ミカエル : 中嶋徹

コメント

部員数が極端に減少し、新入部員も入らず、部活存続の危機に立たされた時期の公演。おまけに社会人になった僕が例によって脚本の完成を遅らせてしまったため、現場は混乱した。4人で1時間を持たせなければならない結構辛い状況だったにも関わらず、一部練習不足のため危なっかしい場面はあったものの、役者全員が踏ん張って、見ていて飽きさせない舞台になっていた(またしても音響のレベルチェックに失敗して、所々聞こえない台詞があったが)。役者陣は助っ人の中嶋を含めて全員熱演・公演だったが、中でも香澄役の小島の力強い演技が印象的だった。彼女はこの後「明るい反抗」への出演を経て、後期七色仮面団の代表作「私の国のアリス」で再び僕の脚本の主役を演じることになる。

 観客には概ね好評だったが、演劇部が消滅するという戯曲の設定がその時の部活の現実にダブって見えた人も多かったらしく、終了後の幕間討論会では、客席から「国分の演劇部はなくなるんですか?」というストレートな質問が飛び出した。これには演出が「なくなりません、絶対に!秋に会いましょう」と応じて、客席から拍手をもらっていた。

 これがきっかけになったのか、通常は春の発表会と6月の校内公演は同じ脚本を上演するところ、この年に限ってこの発表会から約10日後の校内公演の上演作品が変更された。僕にとっては、演劇部と自分との間に考え方の溝があることをはっきり意識させられた公演となった。もはや高校生向けに脚本は書けないと悟ったのである。

 因みに、実際の国分高校演劇部は、6月公演の直後に3年生の引退に加えて退部者も出たため、結局部員が一人となってしまい、事実上の休眠状態に陥る。そしてそれが数年続くことになったのである。