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レコンキスタ

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第3回 レコンキスタ

2003年11月8日 9日 アールコリン

【 作・演出 】息吹肇
【 振付 】石井文子(P.A.I.)
【 選曲 】きりかぶこりす
【 舞台監督 】伊藤清一
【 音響操作 】池田真由実(DEAD sct)
【 照明 】早川和行(T-FAS)
【 映像 】影山美穂
【 制作 】

  • 梶川利征(F2C2)
  • 稲岡寛子
  • 暁(F2C2)
  • Chii
  • ゆうきみわ
  • 松田啓子

【 CAST 】
《 第1景 》

  • ガイア:石井文子(P.A.I.)
  • ベルバラ:柊子(Cradle)
  • マリ:座喜味直子(F2C2)
  • 男1:渡部浩平(P.A.I.)

《 第2景 》

  • トモカ:石井文子(P.A.I.)
  • ミカ:浅井香(P.A.I.)
  • 警官:柿沼直樹

《 第3景 》

  • 女6:座喜味直子(F2C2)
  • 女7:小林亜愛
  • 大村花:佐藤奈美
  • 女性職員:柊子(Cradle)
  • 厚生労働事務次官:柿沼直樹

あらすじ

失われたものを必死で取り戻そうとする人々を描く、3話オムニバス。
第1景「地球先住民族」
人類より先に地球に存在していた地球先住民族の末裔が、地球人から自分達の土地を取り戻そうと仲間を集めている。その過程で捕まえられた役者の卵の男は、先住民族達のおかしなコミュニケーションの手段を体験させられながら、この動きに巻き込まれる。

第2景「癒されない人」
あるOLは「癒し系ロボット」を購入し、自分の部屋でルームメイトのように暮らす。ある時、あまりにも辛かったので愚痴を連発していると、ロボットの「究極の癒し」プログラムが作動して、彼女はロボットに絞殺されてしまう。

第3景「母性回復プログラム」
幼児虐待や娘とのコミュニケーション不全で母性を失ったと診断された母親2人が、行政主催の「母性回復プログラム」に参加する。ここではロールプレイングでお互いが母親と娘を演じることで、娘の気持ちを理解し、母性を取り戻すという治療方法がとられている。が、2人は徐々に自分の中の「母」と「娘」の人格が分裂し始め、やがて制御不能の状態に陥っていく。

コメント

第2回公演の直後から、3回目の公演、それも独自の公演を打ちたいという思いは強かった。だが、核になってくれる人の都合や、出演者が見つからなかったこともあり、何度も企画が頓挫した。そんな中、社会人を辞めて演劇活動を再開していたかつての仲間が声をかけてきてくれて、それをきっかけに話が進んで実現した公演である。彼女が所属する研究所の公演日程が変わって、その影響でこちらも劇場・日程を変更せざるを得なくなる等、紆余曲折はあったものの、出演者の一部をネットの繋がりで見つけたりするという初めての試みもあり、面白い顔ぶれが揃った。例によってスタッフ体制が整わず、キャストが分担して全てをこなすという、「ああ、小劇団」という感じで乗り切ることになった。
役者はみんな舞台上で絡むのは初めて。またダンスや身体表現を取り入れるのも初めて、そしてオムニバス形式やサイコホラー(?)的な作品も初めて、映像を入れるのも初めてと、まさに初めて尽くしの舞台だった。いつものごとく稽古時間も限られ、話ごとに稽古を進めるというスタイルをとらざるを得なかったため、話ごとに完成度が違ってしまっていたのは否めない。また、様々なバックボーンを持つ役者達の演技スタイルを統一するための時間も取れなかった。

問題点は多々あったものの、スタッフさんの頑張りもあって、初日には何とか形にすることができた。また、できた舞台も、音響・照明・衣装・映像が思った以上の統一感を出していた。また、いずれ劣らぬ曲者揃いの役者の存在感もあって、かなりクオリティの高いものになっていたと思う。お客さんにも、特にオープニングを中心にインパクトを与えたようで、概ね好評だった。

ただ、観客動員予測を完全に間違えて、3回ともすし詰め状態の客席には立ち見も出て、なおかつ入り切れないお客様にお帰りいただくという、これまで経験したことのない事態が起こった。大盛況だったのは素直に嬉しいが、同時に申し訳ないことでもあった。

今回はこのサイトを立ち上げて初めての公演ということもあって、「稽古場日記」を設けて役者に書かせた。すると、先行して稽古を始めた3話の出演者の日記が「稽古後お食事日記」になってしまい、一部で話題を呼んだ。また、その3話の稽古で主に使用した歌舞伎町の「あらぬ場所」での稽古も忘れられない。なかなか普通の人にはできない経験だった。

今回は、FBIとしての実質的には初めての独り立ち公演だった。全体として様々な問題点があり、課題がたくさん残ったものの、携わった人達の後味が決して悪いものではなかったらしいことが救いである。また、僕自身、脚本を含めて作品としては満足度は極めて高い。第2回公演の後、芝居作りを諦めかけていた時期もあっただけに、ここでこの作品が作れたということは、僕にとっては非常に大きい。芝居を続ける勇気が少しだけ出てきたという意味でも、また素晴らしいメンバーと出会えたという意味でも、決して忘れることのできない公演である。