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Stairway to Heaven

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第2回 Stairway to Heaven~あの世へ帰りたい~

2000年2月21日・22日 銀座小劇場(マイラーズシアター25参加)

【 制作 】北林由布子

【 CAST 】
■ SKY : 長谷川寧(α.C.m.e.)
■ トゲピー : 山下和美(α.C.m.e.)
■ 林檎 : 佐藤奈美
■ ユッコ : 藤田卓也(α.C.m.e.)
■ とも : 小島幸
■ 屍羅逝 : 船津奈緒子(α.C.m.e.)
■ 飯島刑事 : KUMI 
■ 息吹刑事 : 柿沼直樹

【 Special Thanks 】劇団α.C.m.e.(アクメ)/カラオケステーション/臼杵薫/コジタク/松原美絵/YOHKO FUNATU/大江健二/リバーピア吾妻橋/東部公民館/葛飾公民館/市川駅南公民館/市川市勤労福祉センター本館・分館/プラザ元加賀(順不同・敬称略)

あらすじ

インターネット上の自殺志願者のフォーラム「電脳樹海倶楽部」の常連4人が、管理人・‘屍羅逝’の呼びかけに応じて樹海に集まった。飛び入りで参加した‘とも’も含め、5人が2人と3人のグループに分かれて、パートナーとともに自殺を決行しようというのだ。‘屍羅逝’から毒入りのカプセルを渡されて原生林の奥へと入った5人だったが、詩や絵をかき「星の王子様」の世界を愛する‘SKY’に神経症に悩む‘トゲピー’は徐々に心を開き、何をやってもうまくいかない‘ユッコ’と何か取り返しのつかないことをやってしまったらしい‘林檎’は、必死に励まし合う。そんな中、‘とも’は他の人達から自分が見えなくなっているらしいことに気付く。

コメント

FBI第2回公演にして現時点での最新作。千葉県内の高校演劇部出身者で構成される劇団α.C.m.e.(アクメ)の中心メンバーをキャストの主軸に据え、周りを中堅で固めるという布陣で臨んだ。例によって脚本の完成が遅れた上に、短い稽古期間、スケジュールの関係で全員揃っての稽古がなかなかできない等の問題を抱えながら、結果的には極めて完成度の高い舞台を作ることができた。同時上演の劇団YPOC(イポック)の芝居の色とのギャップに苦しんだであろう(?)お客さんからも概ね高い評価を受け、「もっと見ていたかった」「(1時間では)物足りなかった」という意見が複数あった程である。
 ‘自殺’をテーマにしながら「透明な感じ」「神秘的」と評され、静かな感動をよんだ舞台になったのは、これまでにも増して台詞芝居の色が強いこの作品を実際に演じた役者陣の表現力の賜物であろう。なお、透明感を出すのに大きく貢献し、お客さんの人気も高かった詩の暗唱シーンを稽古場ではみんなでギャグにしていたこと、また若手ながら卓越した演技力でお客さんに強い印象を残したα.C.m.e.の役者陣が、舞台を降りると手がつけられないやんちゃの集団だということは、知らない方が幸福かも知れない。
 七色仮面団時代から舞台を見てくれていた人が「別の劇団を見ているようだった」という感想を述べたことからも分かるように、新たな転換点となる作品である。脚本・役者の両方が揃って誉められるという嬉しい公演であった。勿論、僕自身にとっても印象深い、忘れられない芝居となるだろう。
 なお、『…アリス』以来の息吹作品登場となった小島は、本作を最後に舞台を降りるという。大変残念だが、心から「有り難う。そしてご苦労様」と言いたい。