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エーテルコード

エーテルコードのフライヤー

エーテルコードのフライヤー裏面


2018年1月11日〜14日 劇場MOMO

【原案】

遥川ひまり

【作・演出】

息吹肇

【CAST】

  • 松原夏海(ワンダー・プロダクション)
  • 中澤隆範(劇団ヨロタミ)
  • 西園みすず(サンミュージックプロダクション)
  • 椎名恭子(アミティープロモーション)
  • 中西みなみ
  • 横井結衣
  • 後藤瑠美
  • 天月ミク(アミュレート)
  • 田原寛也(±0)
  • 谷奈実子(アッシュプロダクション)
  • 春摘らむ
  • 宗像将史(アイリンク株式会社)
  • 松坂南(株式会社ジェミーロード)
  • 齋木亨子(夢工房)

【声の出演】

  • 堺谷展之

あらすじ

OLの美月が手伝っていた母親のアクセサリーショップが閉店の危機に陥る。美月は友人の噂を頼りに、ネットで遠隔ヒーリングを行うアゲハというヒーラーと出会う。アゲハのアドバイスを受け、サイキックパワーを注入したパワーブレスを販売したところ、声を失っていたシンガーのヒカリが歌えるようになり、その話が伝わると店は活気を取り戻す。
しかし、順調だったのもつかの間、パワーブレスは災いを引き起こし始め、店は再び窮地に。その陰にはもう1人の謎のヒーラーの存在が見え隠れする。
果たして美月とアゲハ達の運命は!?

エーテルコード舞台写真
エーテルコード舞台写真
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エーテルコード舞台写真
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コメント

この作品の原案はmyria☆☆の遥川ひまりさんである。2016年の春頃にあらすじのようなものをいただいたのだが、その時点では12月と2017年5月が決まっていたので、その後の本公演用として温存しておいた。原案では登場人物は5人だったが、美月の従兄弟が通う高校生のエピーソードや、アゲハと腹違いの姉であるノゾミの存在等を加えて膨らませた。ただ、当初のプロット通りに書くと長くなりすぎるため、削ったエピソードと役があった(それでも十分長かったが。)
主演は松原夏海さんにお願いすること、原案にはなかった美月の彼氏・颯太役に劇団ヨロタミのたかさんこと中澤隆範君を起用することはかなり早くから決めていた。また、目玉の1つとしてアイドルグループ・さんみゅ〜のリーダーの西園みすずさんにも出演していただくことも以前から計画していた。実は「【劇場版】Fairy Melody」の時もオファーはしていたのだが、この時は新曲のプロモーションと時期が重なっているという理由で受けていただけなかったのだ。この公演ではちょうどタイミングが合ったので出ていたくことになった。西園さん自身が舞台をやりたいという意志を強く持っているという話を聞いていたので、ヒカリ役に適任だと思ったのである。
きょうちゃんこと椎名恭子さんはFBIの常連といってもいい。また松坂さんはきょうちゃん同様前回公演「echo chamber」からの続投である。春摘らむさんは「【劇場版】Fairy Melody」以来2回目だが「MOMOに立ちたかった」ということで早々と参加を決めてくれていた。そして、かなりお久し振りの参加だったのが中西みなみさんである。この3年間オファーし続けてきたのだが、熟慮の末に決めてくれた。後藤さんは、「【劇場版】Fairy Melody」の出演者であるさわはるかさんのご紹介だった。ライブに行って、そのパワフルな歌声に惹かれてのオファーだった。そして、今回は大ベテランの齋木さんにもご参加いただいた。ぷろじぇくと☆ぷらねっとの「T for T」に客演した時に出演されていたのがご縁なのだが、アゲハの母親役に適任者が見付からず困っている時に、たまたま地元のファミレスで再会し、その場でオファーしたのである。
他のキャストはオーディション組である。いつものように男性の応募者が少ない中、ふーみんこと宗像君とひろやんこと田原君は光っていた。女子高生役は2人募集だったのだが絞りきれず、みくぽむこと天月さん、横井さん、谷さんの3人で追加オーディションを行った。しかし、甲乙つけがたく、結局は全員採用となった(谷さんは美月の友人役に起用した)。

実際の稽古はいつもの通りシーンごとのチームでの抜きが主になり、いつにも増して脚本を巡るディスカッションが多くなった。松原さんの提案で、読み稽古の時間を大幅に増やした結果でもあるが、そのお陰で出演者の脚本に対しての理解が深まったと思う。その結果として台詞やシーンの修正が多くなり、かなり苦労したのも事実だ。よりよいものを生み出すための作業なので当然だが、キャストと僕との間でかなりのせめぎ合いがあった。そんな中、座長である松原さんは、劇中のキーになる小道具のパワーブレスを手作りして下さるなど、稽古場でも要の役を果たしてくれた。
また、今回は本公演ということでダンスを取り入れた。振付は「Singularity Crash」に続いて桑原彩音さんにお願いした。可愛いダンスとカッコいいダンスの両方をやりたかったのだが、限られた稽古時間の中でキャストはよく頑張ってくれたと思う。特にオープニングは人がかなり入り乱れるので、交通整理が大変だった。

そして、この公演では、本番直前になって男子高校生・洋介役の役者が降板するという、FBI始まって以来最大の危機があった。年末から突然連絡が取れなくなり、稽古にも現れなくなったため、やむを得ない措置であった。代役を立てることも考え、声もかけてもらったが、あまりにも直前だったため断念した。幸いにも出番がかなり限られ、いなくても何とか成立する役だったため、1対1での会話の部分のみ、堺谷展之君に急遽声の出演をお願いした。本役と雰囲気が似ているというのが稽古場の評判であった。また、動きで表現しなければならない部分は、本来は相手役だったひろやんに後ろ姿でやってもらった。これはお客様には分からなかったようである。

役者は「全員のキャラが立っていた」と評価された。松原さんの等身大の女性の演技は堂に入ったもので、母親役の齋木さんや恋人役のたかさんとの息もピッタリだった。今回も劇中での歌があったが、そのうちの1曲は松原さんオリジナルの楽曲(作詞は松原さん本人)で、評判は上々であった。ヒカリ役の西園さんは、「歌」の力が魂を浄化するというテーマにリアリティを与える、圧倒的な歌唱力で観客を魅了した。演技でも、さんみゅ〜のステージで見せる顔とはまた違う、穏やかで温かみのあるキャラクターを見事に演じ好評であった。松原さんと「ツインソウル」であるきょうちゃんは、FBIでは珍しく「静」のキャラが新鮮だった。
この作品は、これまでのFBIの舞台の中では結構明るいテイストのもので、コミカルなシーンがそこここに鏤められていたが、中でも注目を集めたのがいかさまチャネラー・杏樹を演じたらむちゃん。杏樹の台詞に頻繁に出てくる「ハイヤーセルフ」は、その独特のアクションとともに観客に強いインパクトを残した。真剣に伝えなければならない台詞もあったが、その切り替えも自然で、彼女はこの役で新境地を開いたといえる。
また、女子高生の1人・日向役のみくぽむは、女子高生3人の中でも独特の存在感を示し、教師・文雄役のふーみんとのちょっと切ないシーンや、結果的にひとり(無対象)芝居になった洋介とのシーンをしっかりこなした。とてもいい表情をする人で、今後の活躍が期待される。
そして、超久々のみなみさんは座組の中では比較的年上に属し、ヒール役で貫禄の演技を見せた。ツルギさんをして「大女優のオーラがある」と言わしめた存在感があった。アンケートに「渡辺直美ばりの圧がある」と書かれたダンスも圧巻。桑原さんがつけたカッコいい振りを、「ダンスといえばなっつみぃ」と言われた松原さんを差し置いて(?)センターで堂々と踊る姿はさすがであった。
勿論、他のキャストも全員が好演で、詳しく書くときりがない。この作品はビジュアルがいい役者ばかりが集まり、目の保養・心の保養に最適であった。
また今回は終盤にエネルギーを放出し合って戦うシーンがあり、稽古場では滑稽にすら見えたが、実際に劇場で見るとちゃんと成立していた。照明さん、音響さんの力は偉大だと再認識したものである。

今回もチケットが早々にソールドアウトした。特にS席は「瞬殺」。事前精算チケットの発売直後、カンフェティのサーバーが落ちたほどの人気だった。その分入れなかった人が多く、潜在的にはあと100〜150の需要があった筈である。この顔触れになると分かっていたら、同じポケットスクエアならテアトルBONBONを使ったと思う。毎回、出るか分からない当日券を求めて並ぶ人も見られ、嬉しい悲鳴だった。
お客様にも大変好評で、「観劇後の後味がいい」と言われた。千穐楽ではFBIとしては初のダブルコールもいただいた。これもとても嬉しかった。松原さんの事務所の社長さんにも「今回が一番いい」というお褒めの言葉をいただき、大変光栄だった。

キャリアも出自も違う役者による座組は難しさもあったが、華やかさも含めて僕がやりたいことをかなり出せた作品となった。今後のFBIの方向性の1つを指し示すようなエポックメイキングな舞台であることに間違いなく、苦しかったがやってよかったと心から思える、忘れ難い公演となった。

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