Favorite Banana Indians

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【朗読】癒やされない女(ひと)

(Woody夢色音楽祭vol.6「星の陣」参加)

エーテルコードのフライヤー


2018年7月15日
LIVE BOX Gaba-Sugoka(Woody夢色音楽祭vol.6「星の陣」参加)

【作・演出】

息吹肇

【CAST】

後藤瑠美
白星由希奈(Favorite Banana Indians )

あらすじ

あるOLは「癒し系ロボット」を購入し、自分の部屋でルームメイトのように暮らす。ある時、あまりにも辛かったので愚痴を連発していると、ロボットの「究極の癒し」プログラムが作動して、彼女はロボットに絞殺されてしまう。

エーテルコード舞台写真
エーテルコード舞台写真

コメント

FBIの舞台に何度も出演していただいている西村守正さん主催のライブイベント「Woody夢色音楽祭」の2回目からFBIとしてMCで関わってきた。5回目までは僕が朗読で参加していたが、6回目はFBIの朗読劇で参加することを決めていた。これは、2017年から加入した白星由希奈が演技未経験者のため、実際に舞台に立つ前に「演技する」ということをやってもらうことが1つの目的であった。当初は新作を書いて普通に舞台として上演することも考えたが、第12回本公演の脚本執筆と重なっていて新作の執筆が難しかったこと、稽古の時間があまり取れそうもないので、普通に芝居として上演するのはハードルが高いことなどから、朗読劇という形態にした。
スペースの狭さから2人が適切と判断し、過去の上演で評判のよかった「癒されない女(ひと)」をやることにした。元の脚本では少し長いことと、小道具や消え物がなくても成立するように、全体を少し短くした。相手役は、朗読劇の経験が多いということで、「エーテルコード」の出演者の後藤瑠美さんにお願いすることにした。この時期、後藤さんは別の朗読劇の稽古期間だったのだが、その間を縫って参加してくれることになった。後藤さん自身がこの時の夢色音楽祭にシンガーとして参加することになっていたので、渡りに船という感じだった。

2人の雰囲気から判断して、配役はすぐに決まった。ただ、稽古時間が思ったほどとれなかった。白星の仕事の終了時間が比較的遅く、1回に2時間が限度だった。回数もお互いのスケジュール調整をしてもかなり限られた。朗読劇なので基本的に台詞を覚える必要はないのだが、終盤に少し動きが激しい部分があり、ここは全く動かないと成立しない。そのため、この部分のみ脚本を離して演じてもらうことになった。役になって台詞を言うこと自体初めてだったので、当然台詞を覚えるのも初めてだった白星は大変だったと思う。最終稽古でも台詞が出てこず、本人も瑠美ちゃんもかなり不安だっただろう。ただ、彼女は演じる立場から具体的なアドバイスを白星にしてくれて、かなり助かった。精神的にもお姉さん的ポジジョンになっていた。2人の動きの部分も限られた時間でやれるだけやった。もう少し稽古の時間があったら、もっと詰められたかも知れない。

当日は、2人とも衣装を着替えての出演となった。リハの時に出なかった台詞も本番ではちゃんと出て、一安心だった。本当は少しミスがあったのだが、それがお客様に伝わっていなかったのは不幸中の幸いである。また、本番独特の緊張感が、かえって2人の演技を稽古以上のものにしていたのは収穫であった。
1月とは真逆ともいえる役を演じた瑠美ちゃんは、これまでにやったことがないタイプの役ながら、「元気だけどネガティブ」というアプローチで見せた。声で空気感を表現する技は、さすが朗読劇のエキスパートと思わせるものがあった。瑠美ちゃんのファンも、彼女の新しい一面を見られた貴重な作品だったと思う。
演技初挑戦の白星は、アンドロイドという役どころに相応しく、どこか不思議で独特な存在感を最後までキープして、物語に説得力を与えた。演技としてはまだまだ拙い部分も多いが、想像していたよりはきちんと役を表現していた。まずまずの女優デビューだったといっていい。
白星は相当なプレッシャーを感じていたようで、この朗読が終わった後のMCでは、かなりはっちゃけた様子を見せていたのが印象的だった。

お客様の評判も上々だった。この作品を初めて見た人も多く、まさかのオチに驚いたようで、その意外性がうけたということである。「朗読劇では勿体ない」という感想もいただいた。確かにこれは普通に演劇として上演する方が面白さが増すが、朗読劇にしても十分に成立する作品だということが証明された。夢色音楽祭のレパートリーとしての役割は果たせたと思う。同時に、今後のFBIの活動の1つの形態として「朗読公演」というのもありかも知れないと思えるものだった。
新メンバーとして陰でFBIを支えてくれていた白星が、演じ手としてお客様の前に初めてお披露目された記念すべき作品である。
主催の公演ではないが、FBIにとっては、活動が新しい段階に入った節目の作品として、忘れることのできないステージになった。