家族素描

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国分高校演劇部１９９０年新入生歓迎公演

１９９０年４月１６日　国分高校社会科教室

演出：白井英子

《 CAST 》
■ 田中邦雄 ： 田中英恵
■ 教師 ： 今井延明
■ 邦雄の父 ： 星原昭典
■ 邦雄の母 ： 住田多恵
■ 邦雄の姉 ： 石井文子
■ 邦雄の友人 ： 田鳥章子

コメント

毎年演劇部は新入部員勧誘のため、新入生歓迎公演（略称‘新歓’）として定期公演より短めの芝居を新学期はじめに打っていたが、この直前の公演（『明るい反抗』）の大成功をうけて、この年は２公演連続で僕の脚本を上演することになった。準備期間が短かったという割には役者の息もぴったりで、楽しい舞台だった。シュールな脚本世界を生かすために演出面でも工夫を凝らし、お客さんの靴を母親がお盆に載せて運んだり、家族のトランプシーンでは異様に大きなトランプを登場させたりと、それまでにはなかったお遊び指向の強さを見せた。また、ラストシーンで夜空の星々を表現するために、社会科教室の壁に蛍光塗料を塗ったテープを小さく切ったものを張ったり、手作りのミラーボールを使ったりと、こだわるところにはしっかりこだわった。

　『明るい反抗』とはうって変わって、コミカルでテンポのよい演技を見せた役者達の活躍で場内は沸いていたが、残念ながらこの芝居を見て入部した人間はゼロ。もともと４話オムニバスの一部のつもりで書いたものだったので、尻切れトンボという印象を持ったお客さんも多かったようで、評判も今ひとつだった。しかし、芝居の出来自体は必ずしも悪いものではなく、むしろ質の高い舞台だったといえると思う。