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プロメテウスの炎

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プロメテウスの炎~その昔、人間は考える葦であった~

1986年 千葉県立国分高校演劇部上演(文化祭・秋季地区発表会・県大会)

9月20・21日 国分高校社会科教室
11月12日 和洋国府台高校講堂
11月26日 千葉県教育会館

共同脚本:国分高校演劇部
演  出:野原正美

《 CAST 》
■ アンタレス(赤星由香利):野口正子
■ 小泉登 : 根岸英之
■ 松原元 : 渡辺明男
■ 渡部美樹 : 河辺博子
■ 高木恵津子 : 国岡美佳
■ 宇宙刑事シャリバン / 香山教頭 川辺純子
■ 宇宙刑事シャイダー/松崎学年主任 森順子
■ 声1(全校集会の司会/校内放送) 岩谷香織
■ 声2(ラジオニュース) 市瀬美佳
■ 声3(オープニンブの語り) 三好栄次
■ 声4(神様/田辺首相) 菊田哲郎

コメント 

言わずもがなであるが、僕の生まれて初めてのオリジナル戯曲が上演された記念すべき公演。この前年に僕の先輩にあたるOBによる創作戯曲で県大会出場を果たした演劇部が、この年も創作戯曲の上演を希望していると知って、僕が書き下ろした。教育問題と神話的枠組みをミックスさせた筋立ては、当時主流だった小劇場演劇に触発されたものである。とはいえ、初めての試みで台詞をどう作ってよいかわからず、手探りで書いた第1稿を元に部員と一緒に合宿を敢行。全員の話し合いによって台詞を練っていくという過程を経て完成した。

 文化祭公演では、テーマが比較的身近だということもあって、前年に引き続き好評を博した。2回見に来てくれたお客さんもいた程であったが、その一方ギャグが思ったほどうけず、作者がショックを受ける。また、前年の創作戯曲の作者が見に来たので感想を求めたところ、面と向かって一言「つまらん!」と言われたことに、内心ムッとする。

 そのギャグを整理し、キャラクター設定や台詞の一部手直しを経て臨んだ地区発表会の舞台では、特訓をうけた当時の1年生達や、伝説のスター・根岸など役者陣の活躍により、演劇部史上始まって以来の2年連続県大会出場を果たした。また、主演男優賞や各スタッフ賞をほぼ総なめして、完成度の高さを証明した。このときは笑いのシーンで確実に笑いが来た反面、うける筈のないところでもうけてしまい、操作室の演出がそれを見てうけてしまうという世にも奇妙な現象が起きた。

  県大会の大舞台では、朝一番という決してよくないコンディションの中、本番中きた地震をものともせずに演じた結果、笑いもしっかりとれて参加12校中6位というまずまずの成績を収める。シャリバン・シャイダーを登場させたことから、審査委員である某新劇の劇団員に講評で「テレビの見過ぎ」と言われ、部員一同で密かに「テレビを買う金もない程貧乏なんだね」と哀れむ。そのシャリバン役の川辺が他校の女子生徒から握手を求められるという珍事(?)が発生した程、役者のインパクトがあった舞台である。

 この芝居の主力メンバーが、後の七色仮面団の活動を支えてくれることになる。

 いずれにしても、この芝居は僕に芝居作りの楽しさを教えてくれた。これが芝居にはまっていく大きなきっかけになったことは疑いようもなく、その意味でも決して忘れることのできない舞台である。