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PSY・SAY

PSY・SAYのフライヤー

2020年12月5日
御茶ノ水KAKADO

【CAST】

後藤瑠美
柚木那夏(Wonder_Lander)

【あらすじ】

売れない女優の冨樫桃華は、やっと受かった舞台の稽古場で新型コロナウイルスに感染し、人工呼吸器を装着されるほどの重体になる。
意識が朦朧とし、生死の境を彷徨っていると、大きな川の近くの「踊り場」で1人の天使と出会う。天使は、「神様が最後に一つだけ願いを叶えてくれる」と言い、「あの時にもう一度戻りたい」と思える時間への「タイムワープ」を勧める。
桃華が高校の演劇部時代を選ぶと、天使の姿は、演劇部の同級生の杉森楓に変わる。実は楓は、恋人とのドライブの途中に事故に遭い、お腹の子供もろとも命を落としていた。その魂のまま天使となり、彷徨える魂を天国へと導く役目を負っていた。しかし、タイムワープで輝いていた時代を再体験した桃華の魂は息を吹き返し、神様からこの世に戻ることを許される。
桃華は、楓が天使の役目を終えていつかもう一度この世に生まれ変わったら、きっと見つけると約束し、2人は「踊り場」からそれぞれの道へ進んでいく。

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【コメント】

これは、元々は2020年10月25日に予定されていたF.A.P.P主催のライブイベント「ゆめいろらいぶ3」で上演される筈の朗読劇だった。出演者は割と早めに決まった。それが、稽古当日になって出演者の1人が発熱し、翌日も回復しなかったため、主催者側とも話し合った上で、その人を降板させて、翌月予定されていた「ゆめいろらいぶ4」の後の週に延期することになった。(そのため、こちらが「ゆめいろらいぶ4」となった。)ところが、その直前になって、変わったキャストがまたしても体調を崩し、結局その人も降板になった。その段階で、1月の第14回本公演に出演予定だった柚木那夏さんに声をかけたところ、「是非やらせて下さい!」という返事だったので、結果的にこの2人に落ち着いた。
稽古は直前に3回ほど行ったが、大きな問題はなく、初顔合わせの2人の相性もよかった。この作品には、朗読にもかかわらず生歌が2曲入る。歌は自主練に任せられたが、こちらも特に問題にはならなかった。ただ、本番では歌詞間違いが1カ所あった。
それ程きっかけが多い作品とは思わなかったが、当日のリハで時間がかなり押してしまい、ご迷惑をおかけしたと思う。
同じF.A.P.Pのライブイベント「Woody夢色音楽祭」で上演した朗読劇「癒やされない女(ひと)」以来の出演となる瑠美ちゃんは、流石に朗読劇のエキスパートといった貫禄があった。声のマイク乗りもよく、稽古場から既に計算された声の出し方や音量を使っていたのが分かった。また急遽声をかけたともちゃんも、役をきちんと掴んで演じてくれた。歌は、2人とも普段からライブ活動をしているだけあって、先述の歌詞間違い以外は楽しく歌って、芝居の頭と終わりに花を添えていた。
朗読劇は2020年2月の朗読女子会以来だったが、こちらの方が僕らしい作品になったと思う。お客様の評判もよく、歌を入れたことも「メリハリがあった」とプラスに評価してもらえた。「肩の力を抜いて楽しんでもらえる作品」を目指していたので、それは達成できたと思う。そして、小品ながら「息吹肇の朗読劇」のプロトタイプができたといってもいいこの作品の成功は、今後FBIとしても積極的に朗読公演に取り組んでいきたいと思わせるものであった。